個人起業にアイデアは不要だけど、これは必要。使うタイミングも大事

個人起業にアイデアは不要だけど、これは必要。使うタイミングも大事
個人で起業したい、自分のビジネスを持ちたい、会社を辞めたいと考えているのに、起業に踏み切れない場合の多くが「起業のアイデアを探しているけど見つからないから」だと言われています。

起業にはアイデアが必要だと考えている人と不要だと考えている人がいて、どちらも一理あるのですが、実際は起業する際にはアイデアが必要な場合と不要な場合に分かれているだけです。そして起業の際にアイデアが不要な場合でも、アイデアを活用するタイミングは別なところにあるんです。

起業にはアイデア「必要派」と「不要派」がいる

起業にアイデアは必要なのかどうかを考えていくうちに、起業にはアイデアが不要である!と唱える方が一定数いることが分かりました。

起業にアイデアは必要ない。
その主だった理由はこの3点です。

1.これから起業しようと考えている人のアイデアが、起業アイデアとして良いアイデアとは限らないから。
山登り未経験なのに、山登りする際のベストルートを考え始める…みたいなイメージですね。

確かに、連続起業家でもない限り、これから起業しようとする方にとっては初めての起業です。なのに、どんなアイデアがビジネスや事業になるのか、そのアイデアはうまくいくのか。考慮すべき問題や、落とし穴になりそうな点、見落としがちなポイントはないのか?など、調べただけでは見えて来ず、また調べるという考えに至らず(そもそも考えもしないことは存在しないのと同じなので)実際に取り組んでみないと分からないことは多いです。

2.アイデアの良し悪しを判断する基準がない、難しい
アイデアそのものを評価するのはとても難しいことです。

これは、これから起業しようとする人に限った話ではなく、例えどんなにビジネスを成功させていたとしても、アイデアの良し悪し、成功するかどうかを判断することは難しいと言えます。

というのは、アイデアはそれ単体で実行すればよいとは限らず、他の要因、環境、実行タイミングなどにも関連してくるので、「このアイデアであれば必ずうまくいく!」というものは存在しないからです。

3.起業アイデアが失敗した時やうまくいかなかった時、引き際が難しくなる
これは私の持論でもあります。

アイデアを気に入っていれば気に入っているほど、事業としての引き際を判断するのが難しくなります。

アイデアは、瞬間のひらめきで生まれ、自分の頭の中で育っていくもの。まるで自分の子供のような感覚を持つ場合もあります。そんなアイデアから始めたビジネス。それがうまくいかないとしたら、あっさりと引き下がることができるでしょうか?

もちろん、うまくいかないからと言って、引くことだけが全てではありません。そこから時間も労力も惜しまず、果敢に挑戦を続けたからこそ、軌道に乗せることのできたビジネスもきっと少なくないでしょう。

ですが、アイデアに愛着が湧き、執着に変わると、固執してしまい、客観的な判断を行うことが難しくなることも事実です。素晴らしいアイデアだからとお金をつぎ込んでしまっていたら、なおさらですね。実際にそういう方を見てきました。

また、アイデアはあくまでアイデア。当然形にしなければ事業やビジネスにはなりません。アイデア段階では、先起こされたり、時には盗まれたりすることもあり得ます。ですがそれがまだ単なるアイデア段階ならば、誰が形にしても文句は言えません。自分にしか実行できないアイデアというのは、多くはないはず。既に誰かが形にしようとして、失敗しているアイデアなのかもしれませんし、考えている以上にコストがかかるアイデアなのかもしれません。自分だけのスキルで実行が出来ないなら、誰かの協力は不可欠です。その誰かが勝手に実行に移してしまったとしても…。戦うのは難しいでしょう。

つまり、スキルや資金が潤沢でない場合、アイデアひとつで起業するというのは、逆に大きなリスクにつながりかねません。

なので私も「個人で起業するならアイデアは不要である」という考えを持っています。

アイデアから始まる起業もある。

とはいえ、もちろんアイデアから始めてうまくいく起業のケースもたくさんあります。

クラウドファンディングが良い例です。クラウドファンディングとは、商品やサービス、企画やプロジェクトを提案し、それに関して資金提供を募る仕組みです。素晴らしいアイデアが思いつき、それを実行に移す手順も仕組みもある。でもお金が足りない。そういう場合に資金提供してもらったり、出来上がる商品を前払いして協賛してもらったり。このクラウドファンディングであれば、資金が集まらなければ失敗。資金が集まれば実行出来るのはもちろん、既にお客様がいる状態から始めることができます。

他にも、SONYは創業時は様々な商品を作っていたようですが、その後。トランジスタラジオという、当時はあり得ないほどの技術を要し、更に需要があるかどうかも定かではない商品の開発に乗り込み、それを達成することで一躍大企業の仲間入りを果たすことになりました。

このように、アイデアから始まる事業やビジネスも、もちろん珍しいわけではありません。

ですがそれでもやっぱり私は、「個人で起業するならアイデアは不要である」という考えに変わりはありません。それは、アイデアは起業する際に必要なものではなく、起業後に使うタイミングがたくさんあって、そちらに使って行く考えを持った方がスムーズだと感じているからです。

アイデアから始まる起業とアイデア不要の起業の違い

販売力向上会議
私自身、起業して6年になりますが、アイデアから始めたのではありませんでした。それどころか、目標もやりたいことも何もないまま、ただ「お金と時間が欲しい!」と始めたビジネス。子供の頃からの夢だったパティシエを辞め、ビジネスをやっていくぞと決めるのに15分かからなかったくらいのノリです。

そんなアイデアどころかビジネスが何かもよく分かっていない、社会的な意義も持っていない、ただ我欲のため、お金と時間が欲しいだけで始めたビジネスでしたが、6年も続けられる程度には上手く行きました。そして私の周りや、私がビジネスを教えたり一緒に実践している方たちの中には、そういう始め方でうまくいっている方が多いです。

もちろん、アイデアからスタートして、ビジネスを大きくしている方と接点を持てないだけかもしれません。でも一方で、アイデアベースで始めてうまくいかなかった人や、アイデアを実行したいとは口にするものの、動けないまま終わってしまった人はたくさん知っています。

この違いは何でしょうか?

アイデアがあるから起業しようと考える場合、それがうまくいかなかった時のことを考えると怖くなったり、そのアイデアが受け入れられなかった時を想像すると一歩が踏み出せなくなったりすることが多く起こります。また、一発逆転的な発想にも陥りやすく、これでダメならもう終わりと考えてしまい、他の対策を打とうとしない場合もあります。

一方で、アイデアはないけど、とりあえずやってみよう!そんな風に始めれば、第一歩が軽くなります。失敗しても執着が湧きにくく、大きな失敗にもつながりにくくなります。

考えすぎて始められないくらいなら、とりあえずやってみる。動いてみる。そんな風に始めてみるのも、良いのではないでしょうか?私がそうだったように、案外出来てしまうものなので。

じゃあ「強み」や「好き」を活かして起業する案は?

ところで、生み出したアイデアを元に起業しようとする考え方の中に、「強み」や「好き」を活かせる起業をしよう!という考えもあります。

確かに、好きなものの方が続けやすいし、楽しい。強みを活かせた方が事業がうまくいきやすそう。

それも一理ありそうなのですが、私は「そういうこともあるよねー」「そうだったらラッキーだよねー」という程度に受け止めています。

「強み」や「好き」が活かせるなら、それは良いこと。確かにそう思います。ですが、アイデアと同じで、何も事業をしていない段階であり、これから何かを始めようとしている段階で、自分の強みが何か、本当に好きなことが何か分かるものなのでしょうか?

分かる人、知っている人は、本当に幸運な方なんじゃないかと私は思っています。

現に私は、お菓子を作るのが好きで、レシピを考え、新しいスイーツをデザインするのが好きで、使ったことのない材料を研究するのが好きで、パティシエの仕事が大好きだったけれど、その肉体労働の過酷さと労働時間の長さ、そして体に悪いものをふんだんに使ってそれを提供しなくてはいけない罪悪感には勝てなかったのです(今でも甘いものがっつり食べますけれども)。

いくら好きでも、仕事として好きかは別です。仕事として得意かどうかは別です。しかも仕事なので、その中に得意なこともあれば、苦手なこともある。好きなこともあれば、嫌いなこともある(ちなみに私は小麦粉の計量なんて大っ嫌いでした。手は荒れるわ、重いわ、最悪です)。でも、強みになることばかり、好きなことばかりしていては仕事にならないことは、きっと誰でも分かることです。

でも。だからこそ。

その仕事の中に「強み」や「好き」を探していけばいいのではないでしょうか。

ひとつの仕事と言っても、たくさんのパーツから出来ています。例えば販売の仕事と言っても、販売だけをしているのではなく、レジを売ったり梱包したり。在庫管理や掃除も仕事のうちかもしれません。

仕事はたくさんのパーツで成り立っているから、その中にはきっと好きなものも得意なこともある。先に好きとか強みとかを見つけようとしても、全ての仕事を体験したわけでも、全ての仕事の全貌を知っているわけでもなければ、自分のことすら見えていないのに、無理な話です。好きや強みを探してからじゃないと起業できない、自分のビジネスを持てないのだとしたら、それはやっぱりアイデアと同じで、そこから一歩を踏み出せるものではなくなってしまいます。

自分の「強み」や「好き」を知っている人、持っている人は幸運な人。アイデアを持っている人も幸運な人。でも幸運じゃない場合は、もっと幸運です。なぜなら、これから先、いくらでも自分の「強み」も「好き」も「アイデア」も作っていけるし、出会っていける。そこに可能性を遮る壁も、既に持っているものに対する執着心もないのだから。

とはいえ、起業する、ビジネスを始めるなら、業種くらいは決めておいた方がいいですね!その場合は気軽に「なんか好きー」「このジャンルやったことあるー」「話題だし、なんとなく良さそうー」くらいの好きを感じて決めてください。

アイデア不要の起業 2つの必要スキル

起業すると決めたら、アイデアは必要ありません。始めること。これが何より大切で、これが自分のビジネスを始めるための唯一必要な条件です。

とはいえ、何をどう始めていいのか分かりにくいですよね。

私がビジネスで独立した際は、目についた方法を片っぱしから取り組んでみました。当時決めていたのは「人に会わずに仕事したい」ということだけだったので(稼げる金額について具体的には考えていませんでした、何がどれくらい稼げるかは知らなかったし、選ぶもので収入が変わるとは考え付きもしませんでした)、ネットでひとりで出来ることは一通りと言えるほど取り組んでみました。

要は、今あるビジネスモデルで、取り組めそうなものに取り組んで真似をしていけばいいのです。

私が取り組んだ主な方法は、ネットでブログやSNSを使って集客し、メールマガジンを発行し、そこで商品やサービスを紹介して、購入してもらえれば出来高報酬をもらえるものでした。また時には、集客しているブログで直接商品・サービスを紹介し、売り上げを作ることもあります。

始めやすいビジネスモデル
そこから発展し、その方法自体を教えたり、その方法の中のパーツ、例えばメールマガジンの効果的な書き方やブログ集客の方法、コミュニケーション術、褒める技術…といったように、より専門的に教えたりもしました。教える方法も色々あって、セミナーを開いたり、コンサルという形を取ったり、オンラインサポートを行ったり。

また後には、人見知りを克服し、人に会うことが嫌いではなくなったので、積極的に対面でのセールスも取り入れて行きましたし、コミュニティを作り、「場」を提供するビジネスも行っていました。

そんな風に、最初はもともとあるものの真似から始め、また別のところからパーツを真似て強化し、発展させながらビジネスを強化させ、今に至ります。途中で方向性を変えたり、方法を変えたりしたことは何度も何度もあります。もともと取り組んでいたように見えるものはもう、残っていないといっていいのかもしれません。

そんな中、基本的なことや根本的なことは変わっていません。

ビジネスは、集客、セールス、そして商品(サービス)が基本となって出来ています。

お客様(見込み客)を集め、商品やサービスを紹介する(セールス)。これが基本で、このどちらもないビジネスはありません。

そして、ビジネスを始める時には、商品(サービス)は必須ではありません。私も後々は自分のサービスを持ち、それを紹介することを中心としたビジネスを行うようになりましたが、始めた当初は自分の商品やサービスは持っておらず、他社の商品やサービスを紹介し、その紹介報酬をいただいていました。(もちろん既に商品やサービスがあれば、そちらを使って行く方がいいです。)

個人で起業する場合、アイデアは最初は必要ではありません。ですが、この「集客」と「セールス」は必要です。お客様を集めないと買ってもらう人がいないし、セールスしないと買ってもらう状況が作れません。(広告収入を得る場合はセールスと言えるほどのものは必要ありませんし、アマゾンなどの既存のプラットフォームを使い商品販売を行う場合は、集客もほとんど必要ありません。セールスというよりも、商品力の方が必要だとも言えますが、細かい話になるので割愛します。)

ひとりで始められる起業で、アイデアをベースにしないものでは、やはり集客力かセールス力のどちらか、もしくは両方があれば、食い扶持+ちょっとの贅沢分くらいは十分に稼いでいけます。

アイデア不要の起業 アイデア活用のタイミング

実験の場を作り、アイデアを活用する
そして、アイデアはここからが活用の場を迎えます。

既存のビジネスモデル、つまり何らかの集客、何らかのセールスの方法を組み合わせたビジネスを行っていき、そこからその組み合わせの中に活かすためのアイデアを出し、実験していくのです。

もっとこうしたら集客がスムーズになるのではないか?
こっちを使った方がセールスがうまくいくのではないか?
この集客方法にはこのセールス方法の方が、導線が流れるのではないか?
この集客方法とセールス方法だったら、こんな商品も同じように販売できるのでは?
この方法を取り入れれば、もっとお客様に喜んでもらえるのではないか?(単価もアップしそう♪)

そうやって様々なアイデアを出していきます。ですがアイデアはアイデアのままでは何も生み出しません。実行し実験を重ねることで、その力を発揮させるものなのです。

だからこそ、先にアイデアを探すのではなく、アイデアを思いついた時、それを試してみることのできる「アイデア実験の場」を作ることが何より先決なのです。

また、「アイデア実験の場」を作ることで、さらに集客スキルとセールススキルを磨くことも出来ますし、様々な生きたスキルを手に入れる機会も得られます。そうして本当に自分のビジネスに必要なスキルアップをしていけば、視野が広がり、知識がつながり、よりアイデアを生み出しやすい環境と頭脳を手に入れることができるようになります。

何もないところから、アイデアをひねり出すより、先に土壌を作り、耕すことで、自然と必要なものが生まれてくる。それがアイデア不要の起業を行う、一番のメリットなのではないでしょうか。

アイデア活用のタイミング

まとめ:個人起業にアイデアは不要だけど、これは必要。使うタイミングも大事

そういうわけで、個人で起業する際にはアイデアは必要ありません。その代わり、早めにアイデアを使ったり活かしてみたりする場を持つことの方が大切です。要は、アイデアはなくていいので、まずは始めやすいものを始めてみることが大事です。

そうすれば、ビジネスに必須の集客力とセールス力を高め始めることができ、更に次に必要となる集客力とセールス力、そして商品力についての生きた知識や情報が集まり始めます。そこで初めて、様々なアイデアを使い、活かしてみることができます。

そしてもちろん、自分の「強み」や「好き」も、活かす場を手に入れたことにもなります。実践的に「強み」や「好き」を活かして初めて、その「強み」や「好き」は本当にビジネスに使うべきものなのかの判断が出来るようになります。更には、ビジネス自体の新しいアイデアも生まれる土壌ができるので、本当のあなたオリジナルの誰も出来ないビジネスに踏み出すチャンスはここからようやく始まるのではないでしょうか。

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