自分棚卸は起業ネタも強みも見つからない上にしんどい。それでもやるべき理由

自分棚卸は起業ネタも強みも見つからない上にしんどい。それでもやるべき理由

自分棚卸という言葉を知っていますか?自分の中の資産や価値観、強みを見つけ出すためのワークです。転職や就活の際に取り組むこともありますし、起業したい人、した人でもこの自分棚卸を行う方はたくさんいます。私自身、過去取り組んできましたし、自分棚卸の指導もしてきました。そしてその中から起業ネタを探したりもしていました。

でも…。実際に自分棚卸を行い、その中から 起業ネタが見つかったり、自分の強みを発見できるなんてことは残念ながらそうそうありません。それでも、私は一度は自分棚卸をしてみてほしいなと思っています。 起業ネタや強みの発見というメリットはないかもしれませんが、より大きなメリットが得られるからです。

自分棚卸とは

自分棚卸には、決まった方法はありません。自分の過去の経験、経歴、価値観、傾向など、自分をあらゆる角度から見つめ、書き出す作業を指します。書き出し方にも特にルールはありません。とはいえ、それでは途方もなくなってしまうので、項目別に書き出して行くのが取り組みやすい方法です。自分棚卸の項目は後述します。

一般的に言われている自分棚卸の目的とは

一般的には、棚卸を行うのは就活、転職、起業時が多いようです。私は就活経験も転職活動の経験もないので、ここでは起業の話を中心にします。

起業時に自分棚卸を行うのは主に、起業ネタの発見や自分の強みを起業に活かす為と言われています。ですが経験上、そんな風に活用できる人はほとんどいないのではないでしょうか?

自分棚卸が起業ネタに活かされない理由

自分棚卸はそもそも、自分の内側に眠る資産を発見したり、自分自身をよりよく知るための作業です。

でも考えてみて下さい。起業、自分でビジネスを立ち上げるというのは、 自分以外の人に対して価値を提供するということです。自分棚卸の中から発見しようとすればするほど、独りよがり、「私はこれがしたいの!だからこれをするの!」ということになり兼ねません。

もちろん、それが絶対にダメだということではなく、そこをきっかけに、それが本当に喜ばれたり必要とされたりしているかをリサーチし、すり合わせを行っていけば問題ありません。

でも自分の中から自分で発見したものは、愛着や執着が湧きやすくなります。そこで生まれるのがこだわりならまだしも、頑なに「これじゃなきゃダメ!」状態になりやすいので注意が必要です。また、 発見したものをどうビジネスに活かすのかはビジネスを学んだり実践しなければ分からないことです。

それでも、「自分で何かしらビジネスをしてみたい。」「副業を始めたものの、方向性で迷ってしまう。」「自分がこの先どんな仕事でどんな風に生活していけるのか分からないし、不安。」「もっと楽しく働きたい!」もしこの中にひとつでも当てはまるのなら、一度は自分棚卸を行ってみることを推奨します。

自分棚卸は何に役立つのか?

自分棚卸は何に役立つのか?
自分棚卸が起業ネタの発見や自分の強みを見つけそれをビジネスに活かすことには役立たないのだとしたら、それでも私が自分棚卸を推奨する理由は何なのでしょうか。

自分棚卸が本当に役立つのは、以下の3つの点です。

  • 1.自分の過去、これまでの自分を見つめなおすことのメリットがある

自分棚卸は、主にこれまでの考え方や経験を自由に羅列していきます。これから何がしたい、どんな生活を手に入れたい、という未来についての記述も行っていきますが、メインは過去のことです。

特に私が考える重要な棚卸項目は、家族との関係性。そして自分に近く、大きな影響を与えた家族以外の人物がいれば、その人物との関係性です。どんな影響を受けたのか、そこからどんな価値観が生まれたのか、どういう行動をとって来たのかなど、 自分自身の本質や行動原理を見つめることになります。

自分自身をじっくり見つめる機会というのは、作ろうと思って作り出さないとなかなかないですよね。でもやはり、 どこまで行ってもあなたの人生の中心はあなた以外にないのです。だから一度は徹底的に向き合い、見つめなおすことは、自分自身を最良のパートナーにするためには必要不可欠です。

  • 2.自分をひとりの人間として包括的に客観視できるようになる

あらゆる角度から自分を羅列していくと、最後に出来上がるのは自分分析シートです。ひとりの人間の詳しい情報がそこに書かれることになります。今度はそれを、自分だと思わずに「こんな人間がいたらどんなだろう?」と客観視してみてください。

一度自分から離れて自分を見ることで、自分自身を包括的に客観視することができます。きっとこれまでも、「こんな時私は、周りからどう見られているだろう?」と客観視したことはあったと思うのですが、棚卸を行うと「ひとりの人間として」客観視することになります。まるで漫画や小説のキャラクターを見つめている想いになれますし、 いったん離れることでより深い愛情を自分に向けられたり、愛おしく感じることも多いようです。

  • 3.冷静な人間観察能力が身につく

人間の中には、理性と感情があります。もちろん、あなたも私も例外はない(はず)です。感情コントロールの記事でも書きましたが、 事実と感情を切り分けることは自分自身を自由で幸せな存在にするためには必要不可欠なスキルです。

そして感情は、意外なことに(?)自分自身のものしか実際には感じることが出来ないのです。 この世界で唯一感じられる感情を感じている自分を感じてあげる(ややこしいですね…)ことができれば、冷静に感情の動きをつかむことができるようになります。ひとはどこまで行っても感情の生き物。その大切な感情のことを知ることが、人全体を知るための第一歩です。

これらのメリットがあるので、私としては自分棚卸は一度取り組んでみることをお勧めしています。 自分自身の価値観、思考の癖、行動の癖を知ることで初めて、自分と世界がズレていることとズレていないことを知り、人の感情のリアルな動きを感じることができます。ビジネスは人ありきなので、人を知ることが何よりも大切。だから、自分棚卸をどこかのタイミングで行っておくと良いのです。

私が行った自分棚卸

私も例に漏れず、ビジネスを始めて数か月後と、確か数年後にも一度自分棚卸をしています(すいません、記憶力が薄くてよく分かりません)。そして最初の棚卸を行った時。かなりしんどかった記憶のみがあります。

棚卸について調べていると、「月に一度は棚卸をしよう」と書かれているものをいくつも発見しましたが、正直「嘘だろう、死ぬわ…」と思いました。自分を見つめなおす作業は、深ければ深いほど当然しんどいのです。自分の至らなさや失敗、過去の苦すぎる経験、生きるために本能が忘れてくれていたこと、あらゆることと向き合うことになるからです。

ですがそれ以上に、自分がどれだけ周りに支えられてきたのか、どんな風に影響をもらえていたのか、些細な幸せも大きな幸せも思い出すことができます。

幸せに浸ることが目的ではないんですが、 ちゃんと幸せに浸っておくと強くなれる気がしているので(人がどうすれば強くなれるかの研究は私の課題です…)、ぜひ幸せにも浸りつつ、自分棚卸のあり得ないしんどさを体験していただきたいなと思います。

自分棚卸に使った項目

最後に、私が使っている自分棚卸の項目を羅列しておきます。きっと他の方が提供されている棚卸シートを使った方が楽なんじゃないかと思う程度には、細かくて量が多いです。いつもはワードで管理していたのですが、内容を書き込む前の、項目だけの時点で7ページ越えですので。細かすぎて読むだけでしんどいわ!と感じた場合は、別のシートを使うことを心からお勧めします。

ちなみにこちらは実際のシートの画像です…。
実際の棚卸シート

※項目のみで内容は書いていないものです。

【棚卸シート 細かすぎてしんどい項目】
自分のキャラを一言で表すと?
身体的特徴、外面的特徴、第一印象
父親はどんな人か、関係性、培った価値観
母親はどんな人か、関係性、培った価値観
兄弟・姉妹はどんな人か、関係性、培った価値観
夫(妻)はどんな人か、関係性、培った価値観
祖母(祖父)はどんな人か、関係性、培った価値観

基本性格
①《社交性》
②《おしゃべり度》
③《感情表現》
④《積極性》
⑤《頼りがい》
⑥《倫理観・人間性》
⑦《素直さ》
⑧《知性・知識》
⑨《責任感》

将来の夢
社会的地位 現在の職業
学歴・資格
職歴と、その職で得た知識、スキル、価値観
今の仕事をしている動機
これまでの仕事でインパクトの大きかったこと、そこで培った価値観
マーケティングについての考え、知識
現在の経済状態
お金に関する価値観、考え、管理方法
長所
短所
どんな知識を持っているか
健康状態
過去のトラウマ
過去の重要な体験、インパクトのある体験3つとそれによって培った価値観
1.
2.
3.
子供の頃から忘れられない幸せな思い出
子供の頃の生活、環境
何に一番価値を置いているか?もっとも大きな願望ベスト3
1.
2.
3.
譲れないポリシー、価値観、使命感、役割
なぜその願望、価値観、使命、役割を担っているのか?(そのうち共感されそうな理由は?)
これから表現していきたい価値観、使命感、役割、ミッション
何が一番嫌いで、我慢ならないのか
口癖
・喜んだ時→
・怒った時→
・悲しい時→
・照れた時→
・褒められた時→

恐怖に感じること
尊敬する人
嫌いなタイプ
好きな食べ物
嫌いな食べ物
特技
誰にも出来ないような特技
好きな音楽
好きなスポーツ
好きな場所
好きな動物
好きな芸能人、有名人、著名人
好きな本
好きな映画
好きなファッション
趣味、コレクション
好きな色
好きな香り
好きなアート
(いい意味で)ダメなところ
ギャップ(見た目、二面性、多様性、萌え要素)
憧れられる点(美貌・頭脳・能力・性格・笑顔・財力など)
共感を呼ぶ点
ライフスタイル
住んでいる部屋の特徴、住みたい部屋、好きなインテリア
片付け、整理整頓について
生活について気をつけていること、発見したこと
大切なもの
弱点、嫌いなもの
仕草の特徴
自分から連想されるキーワード
内的な悩み(解決していきたいもの)
人生観
人間関係を良くするためのコツ、考え
秘密、神秘的なところ、エピソード
考え方の癖
変なところ
最近変化したこと
誰かを変化させたこと
心の葛藤
ヒーロー的な要素、人の願望を叶える点
執着を持っていること
執着がないこと
願望・目標達成のための方法・考え方
物事に対する反応・態度・考え方
・人と接するときは、
・仕事に対しては、
・家族に対しては、
・同僚に対しては、
・同業者に対しては、
・クライアント(お客さん)に対しては、
・見込み客、コメントを寄せてくれる方に対しては、
・敵に対しては、
・地位が上の人へは、
・逆境に対しては、
・チヤホヤされることに対しては、
・悲しいことに対しては、
・多人数時の会話のスタンス:
・アクシデントの時の反応:
・ピンチに陥った時の反応:
エピソード
①「読者層と近い等身大の存在である、強さもあるが弱さも持っている」エピソード
②「正義の人、善人であり、やさしさを持ち人の痛みが分かる」エピソード
③「読者が同情してしまうような面、あるいは残念な面を持っている」エピソード
④「他人のために自分を犠牲にする」エピソード
⑤「有能であり、高い能力で大活躍している」エピソード
⑥「勇気を持っていて、勇気を発揮する」エピソード
⑦「不完全さを持ち、親しみやすく好感の持てる人物である」エピソード
⑧「どんなことがあっても決してブレない」エピソード
⑨「積極的であり、能動的である」エピソード
⑩「意外な一面」が見えるエピソード
⑪「弱点・悩み」によって人間味・等身大の人物像を感じられるようなエピソード
⑫「願望(欲求)」を叶えるために頑張るエピソード
⑬「成長・心の変化」するエピソード
⑭「良いところ・素敵さ・可愛げ」が見えるエピソード
価値観や考えを表現した言葉

まとめ:自分棚卸は起業ネタも強みも見つからない上にしんどい。それでもやるべき理由

自分棚卸は、言葉で聞く印象よりも正直しんどいです。そして起業ネタが見つかったり、自分の強みを仕事に活かしたりといった、一般的に言われていることはほとんどの場合即効性はありません。

でも、そのしんどさを乗り越えた先には様々なメリットがあります。一度時間を作って取り組んでみても損はないですし、いいことがたくさんです!

タイトルとURLをコピーしました