好きなことを仕事にすると、続かない人・責任感がない人が増える説は本当?

好きなことを仕事にすると、続かない人・責任感がない人が増える説は本当?

「好きなことを仕事にする」「気軽にプチ起業する」こんな起業方法が流行る一方、「覚悟が決まっていない人が増えている」「悪びれもせず、責任感なく仕事を投げ出す人がいる」という声を聴きました。

私は起業推進派ですし、覚悟してから始める方ではないのですが、覚悟の磨き方についてはとても考えさせられました。

簡単に起業すると、簡単に辞めてしまう人が増えるのか?

好きなことを仕事にすると、続かない人・責任感がない人
とある、中小企業を中心に数々の取材を手掛けて来られた方からのお話。今、「プチ起業」とか「女性起業家」が増えていること自体はとても素晴らしいことだけれど、一方で覚悟のない方も多くいて、それが残念だということでした。

確かに私も、起業がもっと身近になればいいという想いもあり、私にもできたのだから、誰にだってできるものだという意識もあります。だから、プチ起業でもおうち起業でもひとり起業でも、どんな形であれ素晴らしいものだと考えてきました。さらに、 覚悟は重いものではなく、さらっと決めてしまえばいいという考えでもあります。

一方で、中途半端に仕事を投げ出してしまう方の存在については、考えてもみなかったし、まったく知らなかったのです。それは私の周りには、とてもありがたいことに、そういった方がいなかった(いても深い関わりじゃなかったから意識していなかったのかも?)からだと思います。

実際にどれくらいの方が仕事を投げ出したり、途中辞めしてしまうのかは分かりません。ただ、取材されたり、直接かかわったりという経験上で、仕事を依頼してプロジェクトは進んでいたのに…→「やっぱりあの仕事辞めました!なので、続けられません。」となってしまう方が、思いのほか多いとのこと。

もちろん、ひとそれぞれ事情はあるのだと思います。私は直接聞いたわけではないから、その事情は分かりません。

でも、起業が身近なものになり、起業家が増えていく中で、 「最近起業した人は信用できない」というイメージが付いてしまうことほど、残念なことはありません。スモール起業への印象が悪くなってしまうことももちろん嬉しくありません。

ですが、なぜこんなことになってしまうのでしょうか?

「好きなことを仕事にして生きていこう!」という投げかけの弊害

弊害
元々会社は、10年続くのは3%ほどしかないと言われています。業績が思わしくなく、事業を続けられないのは、ある意味仕方のないことなのかもしれません(そういった会社が減っていくことは望んでいますが)。でも今回の会話の中で挙がっていたのは、そういった仕方ない理由ではなく、 「嫌になったからやめる」「他にやりたいことができたからやめる」「やっぱりやめる」といった、いわば軽い理由です。

もしかしたら、 「好きなことを仕事にして生きていこう!」という投げかけの弊害なのかもしれません。

もしこれが、「好きなことを仕事にして生きていこう!」という投げかけに共感し、起業したものの、好きじゃなくなったからじゃあ他のことを…と考えている為だとしたら、私は「好きなことを仕事にして生きていこう!」という投げかけだけが悪いのではなく、 「好き」について突き詰めて考えていない結果なのではないかと考えます。

どういうことかというと。

要は、「好き」が軽いままなんです。「好きなこと」で仕事を始めてみた。起業した。これ自体は良いことだと思うんです。でも、何もせずに「好き」だけで埋め尽くされるわけじゃない。「好き」がずっと続くわけじゃない。だから今度は、 「好き」を深く、広くしていく段階に入るべきなんです。

「好き」はその中身を切り替えていく必要がある

切り替え
「好き」で始めても、苦しいことやうまくいかないこともたくさんやって来ます。そうなったら他の「好き」を探せばいいかというと、それは違う。その考えでは、「この会社はなんとなく肌に合わないから、転職さえすれば問題は解決するだろう」というような、安易な考えと同じです。

考えれば分かることですが、そんなわけありません。自分にとって不快なこと、難解なこと、嫌なこと、何も起こらない環境なんてあるわけない。

だから今度は、「好き」を切り替えていく必要があります。 乗り越える面白さ、挑戦する楽しさ。そういったものを味わい、「好き」になっていく。楽しむスキルを高める。そうして初めて、自分の今いる環境やひとつひとつの仕事に「好き」が増えていく。

もちろん、超絶ブラック企業に勤めているとか、人間関係が悪すぎるなど外的要因が強すぎるのであれば、逃げ出す方法を考えた方がいいです。気持ちや考え方一つで全てを解決しようというわけではなく、環境の良し悪しと同じくらい、その環境を活かしていくための考え方を培い、育てていく。それが大事なのです。

だから、もし「好きなことを始めたはずなのに、好きじゃなくなって来たから辞めないと」と考えてしまったとしたら。 もう一度「好き」を見つめなおす機会がやって来たのではないでしょうか。だって、そのまま辞めてしまったら、関係者やそれまでのお客様に迷惑をかけてしまうことにつながる。人に迷惑をかけることが好きだ!と思う人、普通いないですよね?

だとしたら、「辞めること=迷惑をかける=好きなことじゃない」となるはず。「好き」を突き詰めるというのは、好きなことをしながら、好きを育てながら、嫌なことをしなくて済むよう考え、行動を選択していくことなんじゃないかと思うのです。

自分の中の「好き」を全部叶えるくらいの貪欲さを持とう!

貪欲
きっと、仕事を中途半端に投げ出してしまう人にも、多かれ少なかれ罪悪感があると思うのです。誰かに迷惑をかけてしまったという想いが強いかもしれないし、自分に対する憤りかもしれない。

でもそれを「好きじゃなくなったから仕方ないんだ」「自分には合っていなかったんだ」と、表面的で聞こえの良さそうな理由を盾にして自分の中で正当化しない方がいい。それでは、自分の気持ちを見失ってしまいます。

「人に迷惑をかけるのは嫌だ!」「中途半端に終える自分は嫌だ!」という気持ちに正直になって、 自分の中の「好き」を全部叶えるくらいの貪欲さがあってもいいと思うんですよね。

例えば、関係者に誠心誠意謝ることなのかもしれないし、うまくいかない理由を誰かに相談することなのかもしれない。「好き」を全部叶えるというのは、いわば自分の中の「良心」に従うということなのかもしれませんね。

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